【パルス道場】Vol.9 メトロノームはオモテで使うとは限らない

お・と・なのジャズ研

さて、これまでは1拍、3拍を鳴らすメトロノームとコラボすることをずっとやってきた。これは一番基本的なやり方で、あまり人生でメトロノームに触れてこなかった方でも使い方にそれほど苦労は感じなかったと思う。
しかし、この道場の第3回「ザ・バックビート」でお話しした通り、実は世の中の4拍子音楽のほとんどは、実は1,3拍よりも2,4拍に本来感じるべきパルスがあり、またそのように感じた方が自然にノれるのである。ということは、メトロノームにバックビートを鳴らしてもらい、それにコラボする訓練をすることで、より実用的なパルス訓練が出来るに違いない。早速やってみよう。

Exercise 27

メトロノームを鳴らしてすぐにこの譜例が叩けた人は、そこそこ音楽の経験が深い人だろう。これが出来るためには、自分が叩きだす前に、鳴っているクリックを「2拍、4拍(四分ウラ)で感じる」という工程が必要である。これを言い換えると、自分自身で4拍子を無から作っててメトロノーム君に自分のオモテ拍とコラボさせてあげる、という作業をすでにしているのである。なので、このウラ拍トレーニングにすんなり入れる人は「自分のパルス世界を作る」というステップはある程度自然に出来ていることになる。

ちなみに、ここで勘違いしてはいけないのが、「単にクリックと交互に叩けていること」は上記が出来たこととは全く違うということである。うっかりすると頭の中が

となってしまっていないだろうか。これは自分がバックビートを鳴らしている(すでに最初に紹介したExercise 2)と何ら変わらない。(この現象を”拍がひっくり返っている”と表現する)いやいや、そんなこと分かってますよ、という声が聞こえてきそうだが、ミドルテンポならまだしも、速いテンポでかつ長時間、上記Excercise 27を出来る人は、実はかなり訓練された人と言えるのである。試しにTempo120でメトロノームを鳴らし(実際のテンポは四分音符=240となる)2分くらいやってみよう。何らストレスなく続けられる人は、さらにTempo150(四分音符=300)でやってみよう。300というテンポは、一般的にはなかなかお目にかからない速さだが、ジャズの上級者なら経験したことがあるだろう。これはジャズの4ビート世界は8ビートや16ビートよりも相対的にスピードが速いからである(と書くと語弊がありそうだが、例えば四分音符=200の4ビートは軽快なミドルテンポに感じるのに対し、同じく四分音符=200の8ビートはものすごく速い音楽に聞こえ、滅多にないテンポということである。つまり4ビートジャズは他のジャンルと比べると、テンポ表記自体は速い傾向にある。)

さて、ジャズのセッションでTempo=300でを演奏すると(例えばCherokeeとか!)、かなりの手練れが集結していない限り、大抵は拍の裏帰り現象が発生しビートが崩壊する。バックビートを超速で取り続けることは、とても難しいからである。楽器を速く演奏するテクニックも大事だが、肝心の自分のパルスが崩壊してはアンサンブルにならない。つまり上記エクササイズの感覚を研ぎ澄ますことが何よりも重要なのである。
つまり練習の順番としてはExcercise27を速いテンポでも自然に感じられるまで訓練し、次にそれに自分の音楽(アドリブフレーズなど)を乗っけて自然に歌えるまで訓練し、そして最終的には実際の楽器でその通り演奏する訓練をするというのが最も効果的なはずだと思う。

この順番はもちろん、ゆっくりのパルストレーニングにも当てはまる。
まずはパルスをバックビートで感じるところから始め、そこに鼻歌を乗っけてみてストレスなくコラボ出来るようになるようになれば、あとは問題になるのは楽器を操るテクニックだけとなる。大抵のアマチュアは楽器のテクニックに夢中になって、その前にあるべきパルス支配の重要性には気づいていないので、セッションでサウンドが崩壊する原因が自分にあることにいつまでも気づかないのである。
(Vo.9 終わり)

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