「美女と野獣」に隠された真実! 

COLUMN

この度、ピアノソロ作品として「美女と野獣 Beauty and the Beast」を宅録しました。
この曲を録音したきっかけは、知人の結婚式での演奏をリクエストいただいたことです。
ディズニーの超有名曲ですので皆さまよくご存じでしょう。最近は映画のリバイバルに合わせて、テーマソングもリメイク(Vocal:アリアナ・グランデ&ジョン・レジェンド)されていますが、オールドファンにとってはやはり、セリーヌ・ディオンとピーボ・ブライソンのテイクがお馴染みでしょう。


リアレンジするにあたって気づいた点などをちょっとご紹介します。
この曲ですが、ディズニーの他の有名楽曲と比較すると、ちょっと地味な印象があるのは私だけでしょうか。例えば、アラジンの”A Whole New World”やアナ雪の”Let it Go”をちょっと鼻歌で歌ってみて、って言われたら、ほとんどの人が「A Whole New World~♪」「Let it Go~♪ Let it Go~♪」とまさに歌のタイトル通りの歌詞で一番盛り上がるサビを口ずさむのではないでしょうか?

「美女と野獣」の場合、実は曲の構成としては、イントロに続いて早くもサビと言えるメインフレーズが登場します。それがとてもゆったり、しっとりしているので初めて聞くとサビだと気づかないくらい。そして、なんとサビの最中に急に短3度下に転調する!この曲はセリーヌ・ディオンがサビの前半を歌った後に、ピーボ・ブライソンがそれに答えるように、同じフレーズを違うキーで歌うことで、非常に穏やかな曲調ながらも、聴く側をはっとさせるような意外性をもたらすことに成功しています。男女のデュエット曲は女性キーと男性キーのバランスをどうとるかという課題があるわけですが、この曲はむしろ転調を効果的に利用して、それを克服しているわけです。
続けての展開部も二人の歌唱力を存分に引き出すようなレガートなパッセージが続き、間奏が入ります。

そして、最後のテーマに入る直前でさらに劇的な転調を入れることで、曲全体のドラマチックさを際立たせています。
全体的にゆったりとしたバラードですが、メロディの派手さではなく、全体の構成力でアピールしている楽曲だと私は理解しています。
ちなみに、最終的にこの曲は3回の転調により4つのキーが登場します。
1回目のメインテーマ(Key:F→Key:D)
展開部・間奏をはさみ
2回目のメインテーマ(Key:G→Key:E)
これだけの転調をする曲は珍しいですが、不自然に感じさせない構築力はさすがです。

そしてもう一つの特徴についてです。私の妻がこの曲を鼻歌で歌ってて気づいたことですが、なんと、曲全体を通じて、フレーズは全て5つの音符を使った、次のリズムモチーフで出来上がっています!

「美女と野獣」のメロディ、たった一つのモチーフがこれ。

歌いだしの
Take as old as time…
True as it can be…
展開部の
Ever just the same…
どこの歌詞を当てはめてもこのリズムで出来上がっています!これは大発見。

ここまでシンプルなアイデアで出来ているバラードを、ソロピアノに置き換えた場合、とっても地味な印象になりがちです。もちろん終始音数の少ないバラードも良いものではあるのですが、この曲はドラマチックさを表現する必要がありますので、今回のアレンジではいくつかのスタイルチェンジも盛り込んでみました。
まずは極力シンプルな音遣いでイントロから最初のテーマまでルバートで。展開部は少し刻みを入れ、和音も厚くしながら、間奏部分はインプロヴィゼーションもちょこっと挟んでいます。そして大きく転調する最後のメインテーマでは、いったんブレイク(無音部分)を入れ、違う曲が始まったようにサンバのリズムでガラッと雰囲気を変えています。場が結婚式だったこともあり出来るだけ華やかな後味にしたかったという理由もあります。新郎新婦に一生覚えていてもらえるような演奏になったとしたら、それはピアニスト冥利に尽きるというものです。
今日はここまで。今回の演奏はこちら。

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